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鳥取市で雨の日の観光におすすめ!砂の美術館第16回展示についてレポートします

鳥取市福部町にある砂の美術館を訪れました。鳥取砂丘の近くにある砂像を展示した美術館で、屋内展示が中心のため雨の日の観光にもおすすめです。
2025年度の展示は日本をテーマにしています。砂像がどのように作られているのか、砂で日本をどのように表現しているのかなど、鑑賞してみた感想とともにレポートします。
砂の美術館とは
鳥取砂丘近くにある、国内では唯一の砂像の展示を中心とした美術館です。砂像の素材に使われているのは、水と砂だけです。いわゆる「お砂場遊び」と同じ原理を利用しています。
制作方法は、砂と水をよく混ぜ、型にはめて押し固めて作ったブロックを彫刻するというものです。
砂は世界各国の地域によってその性質が異なります。特に鳥取の砂は粒子が細かく、水と混ざりやすいため、独特の質感が実現でき、砂像制作に適しているのだそうです(館内の解説より)。それでも、制作中は常に崩壊のリスクと戦わなくてはなりません。そうして丁寧に時間をかけて制作しても、展示期間が過ぎるとすべて解体されてしまいます。同じものを再び見ることができないということが最大の魅力と言えます。
世界的にも希少な美術館
砂の美術館は、建物の中に砂像を展示する世界でも珍しい美術館です。多くの場合、砂像はビーチなど屋外に設置されるため、制作期間から展示期間を通じて崩れやすいリスクを負っています。さらに気候の影響を受けるため、使える技法が限られます。
砂の美術館は室内の環境を一定に保つことができ、砂を乾燥させながら制作を進めることが可能です。そのため、他では見られない細かな技法やリアルな描写を鑑賞できます。
第16回はプレミアム展示・テーマ『日本』
砂の美術館では、「砂で世界旅行」をテーマに、開館よりさまざまな国がテーマとされてきました。イタリア、オーストリア、カンボジア、ロシア、エジプトなどの国の人物や建物、美術作品を砂像で表現しています。
16回目となる今回の展示は、2025年大阪・関西万博の開催にちなんで日本がテーマです。富士山や京都の寺社、日本神話のヤマタノオロチ退治や戦国武将など入口から順に歴史をたどる形でいろいろな風景や人物が展示されています。
館内には3階部分に回廊が設置されていて、砂像を上から見下ろしたり、天井に近い位置の展示を間近で鑑賞したりできます。
アーティストごとの技法の違いに注目
ひとつひとつの砂像を見ていると、制作した方の個性や独特の技法が見えてきます。ある作品は滑らかな線で大きな像を作っていたり、またある作品はダイナミックな角度で遠近法を駆使していたりするものです。
人物の描き方も特徴が分かれます。生命感を感じるほど大きく精密に彫り込まれた像や、小さな人物像を人形のように配置したものがありました。どちらもそれぞれに躍動感や迫力があり、歴史上の人物の息遣いが伝わってくるようです。
実際に存在する建物や絵画作品をかたどったものや、歴史的なテーマをアーティストが自由な感性で創作したものという違いもあり、鳥取の砂でこんなにも多彩な表現が可能だということに驚かされます。
砂の美術館まとめ
砂の美術館で砂像を鑑賞した結果感じたことは、この美術館が伝統的な日本の美意識に基づいているということです。砂像はやがて解体されてしまって、同じものは二度と作れません。また、砂という素材は決してビビッドな色調ではありません。でもそれらは、古くから日本人が大切にしてきた「一期一会」という考え方や、静かな色合いの中に美しさを見いだす「わびさび」というものに通じます。
今回は展示のテーマが『日本』だったこともあり、よりそれが心に迫ってきたのかもしれません。制作にあたった方の多くが海外出身ということも興味深いですね。
海外から砂の美術館を訪れるお客さんには、砂像を通してぜひ日本の文化や歴史に触れていただきたいと思いました。
住所 | 鳥取市福部町湯山2083‐17 |
営業時間 | 2025年4月25日〜2026年1月4日9:00〜18:00(最終入館17:30) |
入館料 | 一般800円小中高校生400円小学生未満無料障がい者手帳による減免あり |
駐車場 | 有り |
関連リンク | 砂の美術館公式HP |